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広大な東京の中で独自のレトロ感を醸し出す街、月島

高層ビルがそびえ立ち、現代的な建造物が建ち並ぶ東京都江東区。この地域の隅田川沿いに月島の街はあります。下町らしいレトロな街並みが広がり、懐かしさでいっぱいの雰囲気を醸し出しているのが特徴です。銀座や築地などといった人気エリアのすぐ近くにありながら、昔懐かしい空気が漂う月島。ここは地元の人や観光客にも愛されている街でもあるのです。今回の「Area of Japan 1日時間ができたら行ってみたい!東京のスポット」シリーズ記事では、名物「もんじゃ焼き」を味わい、レトロとモダンが溶け合ったここでしか見られない景色をこの目で見るべく、月島の街を探索してきました。筆者のおすすめスポットもご紹介しますので、ぜひお見逃しなく!

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月島 〜かつての労働者の街は魅力的な下町へ

月島は、隅田川沿いを埋め立てて1892年に造られた人工島です。当初は静かな街でしたが、明治時代(1868〜1912年)末期にかけて産業地域として発展していくとともに、多くの労働者がこの地に住む場所を求めてやってきました。この変化に伴い、住民たちの暮らしを支える店舗と共に多くの集合住宅が建てられていきました。労働階級の庶民達が手に取りやすいようにと、商品の価格は比較的安めに設定するお店が多く、また、その他の娯楽施設も近隣に暮らす人々を引きつけ、活気溢れる街となっていきました。

東京は20世紀の間に、1923年の関東大震災と第二次世界大戦中の空襲による大荒廃に見舞われます。しかし、月島は重要な産業都市とみなされていたことから、地震のあとも急速な復興を遂げ、近隣に病院があったことから大空襲からも逃れることができたのです。その結果、他の地域とは異なり、古くからの歴史的な建物が今も見られる場所となっていきました。

月島もんじゃストリート 〜レトロな見た目のお店が集まる活気溢れる通り

月島の主な見どころの一つは、月島もんじゃストリートです。およそ500メートル続く道の両側には約80の店舗が並びます。公式な名前は西仲通りだったのですが、平成の時代(1989〜2019年)の始めに「もんじゃ焼き」という月島の名物グルメが有名になりました。「もんじゃ焼き」は人気を集め、活気溢れるこの通りはその後に「月島もんじゃストリート」という愛称で呼ばれるようになりました。現在も何軒もの「もんじゃ焼き」のお店が並び、レトロな外観と、日本らしさが感じられる魅力的な装飾で、訪れる人を魅了しています。

月島もんじゃストリートには各店舗がひしめき合い、美味しそうなお店が次から次へと続きます。それぞれの店舗が独特の魅力を持っており、ノルタルジックな雰囲気に浸り、次なるお店を探しながら通りを渡り歩く楽しみを与えてくれます。このストリートは、全体的に青い「のれん」という日本のもてなしの心を象徴する日よけの布で縁取られ、月島(「月の島」という意味)の名前にちなんだ小さな月の装飾が施されています。建物の間の路地を覗いてみると、昔懐かしい通りには、ケースが積み上げられ、緑もあり、地元の人達の日常的な雰囲気が感じられます。

月島もんじゃ もへじ 〜月島のもんじゃ焼きといえばココ!

もんじゃ焼き発祥の地と言われる月島へ来たのなら、もんじゃ焼きを食べるのはマストでしょう!正確な起源は定かではありませんが、もんじゃ焼きは20世紀中頃に「文字焼き」という安いおやつから発展した食べ物と言われています。文字焼きはゆるい生地を鉄板で焼いて作ります。月島の発展と共に、地元の子どもたちの間で人気の食べ物となり、この文字焼きがもんじゃ焼きに変わっていったそうです。現在のもんじゃ焼きも薄くのばした生地を鉄板で焼いて作られており、名前が似ていることもこの説を裏づけになっています。

もんじゃ焼きは東京の名物グルメとされていますが、もんじゃ焼きの専門店は浅草周辺から月島に特に集中しており、多くの人が本物のおいしいもんじゃ焼きを求めて月島へと足を運びます。数多くのもんじゃ焼きのお店の中でも、多くの人が「月島もんじゃもへじ」をひいきにします。もへじは150年の歴史を持つ魚屋直営の人気のお店です。世界最大級の魚市場である豊洲市場から、ほぼ毎日新鮮な鮮魚類が直送されているため、ここの食事や季節のメニューがおいしいのは当然です。

たくさんの美味しそうなメニューの中からどのもんじゃ焼きを選べばいいのか迷ったので、お店の方にお勧めされた人気メニュー「明太子(スケトウダラの辛く味付けした魚卵)もちもんじゃ」を頼みました。数分後、ボウルには、もへじ自家製のだし、キャベツの山、バランスよくのせられた四角い餅、そしててっぺんにはキラキラと輝くピンク色の明太子が飾られて、私たちの目の前にやってきました。これらの具材を鉄板の上で調理する準備は万端です。もへじはスタッフが目の前の鉄板で調理してくれるので、初めての人も安心して楽しめるお店です。瞬く間に調理されていく、スタッフの巧みな手さばきも必見ですよ!

出来上がったもんじゃ焼きのビジュアルに驚く人は多いでしょう。目の前にあるのは、何で出来ているのかよく分からないような薄べったい粉の塊なのですから。しかし、一口食べる毎に素材の風味が広がり、口の中で踊り出してくるようなその味は絶品です。もへじのもんじゃ焼きのだしは、魚介、鶏ガラ、香味野菜が独自の配合でブレンドされており、うま味に溢れながらその他の具材の味も引き立ててくれるのです。

私たちはトッピングにチーズを選んだのですが、明太子との相性は抜群でした。そのままトッピング無しでも十分おいしい生地に濃厚な味をさらにプラスしてくれました。焼き始めると最初に端がカリカリになってきて、ユニークな食感を楽しめます。生地がゆるめの部分には明太子とチーズの味がしっかりと感じられ、また、餅のもちもちとした食感も感じられます。もんじゃ焼きは、焼き具合に応じて味も食感も変わり続けるので、急いで食べ終わらなくても大丈夫です!テーブルにはさまざまなソースや調味料もありますので、自分好みに味つけすることもできますよ。

私たちが訪ねたのは午後の時間帯でしたが、お店は鉄板を囲んで楽しそうにおしゃべりしながら、おいしいもんじゃ焼きをつつくお客さんで満席でした。もへじは当然ながらとても人気店ですから、待つのが嫌という場合は予約をとるのがよいでしょう。本店はかなりこじんまりとしたお店となっているので、大人数で行くのであれば、同じく月島もんじゃストリートにある支店の「はなれ」や「はなれのはなれ」がおすすめです。ちなみに、いか墨もんじゃはスタッフの間で人気だそうで、ちょっと冒険してみたいという方は、ぜひ挑戦してみてください!

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月島久栄 〜メロンパン界の頂点に立つメロンパン

メロンパンは、その味からではなく、メロンに似た見た目から名付けられたパンのことを言います。コンビニでもよく見かける日本で人気の菓子パンですが、焼きたてのメロンパンに敵うものはありません。もし「本物の味」を味わいたいのなら、月島久栄がおすすめです!ここも月島もんじゃストリート内にあり、何年にもわたって高い人気を得ているメロンパンが主力メニューのお店なのです。店頭にはテレビで紹介された際のポスターが飾られており、その注目度の高さがうかがえます。私たちも、お店の周りに漂う甘い香りに魅了され、吸い寄せられるようにお店に入りました。

久栄はメロンパンや食べ歩きしやすいパイ、クロワッサンなどを一日中焼きあげています。そのため、品切れが起こりにくく、焼き立てに近いパンを常に提供できるのです。美味しそうなパン達がショーウィンドウに並べられているので、通りすがりのお客さんも魅了され、足をとめずにはいられません。メロンパンがこのお店の看板メニューなので、もちろん私たちも焼きたてのメロンパンと、個人的に気になったアップルパイやメロンパンラスクもいただくことにしました。

一般的にコンビニなどで売られているビニール袋に包まれたメロンパンは食感がごわごわしているだけの場合もありますが、月島久栄のメロンパンは外側がしっかりサクサクしていながら中はふわふわでした。濃い目の茶色い溝が刻まれたメロンパンの上にキラキラの砂糖がまぶされ、パンの甘みを際立たせているように感じられます。このメロンパンを味わうためだけにわざわざ月島までやってくる人がいるというのも、納得の味です!

アップルパイもまた絶品で、果汁たっぷりのアップルフィリングがバターたっぷりのパイ生地ととてもよく合っていました。購入した商品はあっという間になくなり、幸せで満たされた心地でしたが、もっと食べたいという心の声も聞こえていました。幸い、メロンパンの外側を焼いて仕上げたメロンパンラスクが一袋残っていたので、後でまた味わうことができます。サクサクで、噛むとすぐにホロホロと崩れますが、天にも昇るような月島久栄の焼きたてメロンパンの味はそのままです。包装済みの商品はお土産にもぴったりですが、焼きたての商品を食べたと受け取った人が知ったら、きっと羨ましがられることでしょう!

Klook.com

佃小橋 〜コンクリートの建物の中の隠れた歴史ある建造物

賑やかな月島もんじゃストリートから少し歩くと、情緒あふれる住宅やレトロな見た目のお店が並ぶ佃地区に行き着きます。この一帯は、現在では東京の高層ビルが背景を飾っています。佃は16世紀の最も有名な「将軍(武士の頭領)」である徳川家康の命により、江戸(現在の東京)の漁業や狩猟産業を強化すべく、大阪の方面から漁師らを呼び寄せて開発されました。

昔ながらの建築物と現代的なビル群が混在する不思議な雰囲気の道を歩いていると、遠くに見える鮮やかな色が私たちの目に留まりました。近づいてみると、昔ながらの日本の橋であるということに気が付きました。朱色が映えるこの橋の欄干は、周囲のレトロな建物やアパートの無味乾燥とした色合いと、鮮やかなコントラストを生み出しています。現在のこの橋は1984年に架けられたものですが、当時の佃島を東西に隔てていた人工の壕とほとんど同じ位置にあることから、この一帯を開発していた時期の名残りを感じさせます。

橋は小さな漁船が停泊するエリアに面しており、船が漁に出るまでの間、静かに水面を揺らす情景を見られます。周囲には一般の住居やお店、小さな公園などがあり、住民同士が親しげに挨拶を交わし合うような素敵な日常を垣間見ることができます。

橋からの眺めは東京の現代化を絵に描いたようでありながら、古さと新しさが調和を保っている様子を映し出しているようにも見えます。橋のすぐそばにある公園はひと休みするのにもちょうどよいです。木々に囲まれたベンチに座って、佃小橋と背景のビル群の素敵な調和を眺めるのにおすすめです。

隅田川リバーテラス 〜東京スカイラインのすばらしい眺め

隅田川テラスは隅田川沿いの長い遊歩道です。月島やその隣りの勝どきを含めて墨田区内を全長32キロにわたって縦断しています。ジョギングコースやウォーキングコースとしても人気です。私たちが少し休憩したいな、と思った時に川の方へ少し歩き、このエリアで景色を眺めながら一息つきました。のんびりと歩き遠くに見えるビルを眺めたあと、立ち止まってたくさんあるベンチの1つに腰掛けました。川を見下ろし、潮風を吸いながら、穏やかな青い小波の上のボートを眺めるのは癒やしの時間になるでしょう。

この遊歩道からは都会的なスカイラインが一望でき、場所や角度によっては東京タワーや東京スカイツリーも遠くに見られますよ!日中は他の建物と紛れたように見える場合もありますが、夜には両者とも美しくイルミネーションされて、東京の摩天楼が放つまばゆい光の中でも一際美しく見えます。夜にこの場所に訪れれば、日中とは違ったロマンチックな雰囲気を体験できるでしょう。

現代の東京で、レトロとモダンが混ざり合う雰囲気を楽しめる街

月島は東京の中でも本当にユニークな街です。レトロとモダンが混ざり合い、美しい水辺の景色が楽しめる場所で、さらには本場のもんじゃ焼きが食べられる数少ないスポットの1つでもあります!東京中心部から近い場所で、いつもとは違った雰囲気の街をお探しなら、ぜひとも月島に訪れることをおすすめします!

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ライター紹介

Kim
Kim S.
アメリカで生まれ育ち、現在は東京を拠点に活動しています。日本の伝統文化が大好きで、レトロやローカルな雰囲気、タイムスリップしたような気分にさせてくれる場所を求めて、日本中の静かな街や穴場を訪れています。47都道府県のおいしいコーヒーショップや知られていない素敵な場所を探すのも楽しみのひとつ。
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