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佐原~東京と成田空港に近い江戸時代からの水郷の町

千葉県の北東部にある佐原は、東京と成田国際空港からわずか 2 時間弱の、レトロな風景が魅力的な江戸時代から続く水郷の町です。人混みに煩わされることなく、日本の伝統的な精神と美しさを体験できる隠れた名所、佐原。今回の「Area of Japan」では、佐原を訪ね、素敵な着物を着て一日の旅を提案します。完璧に保存された歴史的な街並みを徒歩や舟で巡りながら、地元のグルメを味わい、昔の日本を思い起させる風景に浸ってください。

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昔ながらの風情を残す商家町「佐原」

私が佐原を知ったのは数年前のことで、それ以来何度も訪れています。最初に訪れたのは、東京から隣の千葉県への 一人旅で、田んぼや広大な畑、小さな集落が広がる風景の中を風景の中を散策しました。 信じられないほど手つかずまま残された町と、美しい歴史地区に出会い、その静かで絵のような雰囲気が大好きになりました。日本の他の観光地は、当然のことながら混雑していることが多いですが、佐原はまるで別の時代にいるかのようにのどかでした。 

元々、佐原は香取神宮を中心として発展した農村で、その歴史は643年にまで遡ります。香取神宮は朝廷から東日本で最も重要な神社のひとつに指定され、明治時代(1868年~1912年)までこの地方に2つしかない「神宮」として最高の地位を与えられていました。

初めて訪れたとき、水路や木造の商家が建ち並ぶ通りを歩きながら、それらが何世代にもわたって残され、今も営業を続けているものもあることから、佐原が商業の町であることを知りました。 

佐原が商業の町として誕生したのには、珍しい背景があります。 現在、佐原の北を流れ、舟が行きかう水路として利用されている利根川は、もともとこの場所を流れていたわけではありません。江戸時代(1603年~1868年)、度重なる氾濫を防ぎ、新たな農地を開発するために、幕府の一大事業として、当時東京湾に注いでいた利根川を、現在の千葉県を通り、銚子(佐原の南)に注ぐよう流れを変更したのです。 

この新しい水路のおかげで、利根川やその支流の小野川を利用して、佐原から江戸へ多くの物資が運ばれるようになりました。 やがて佐原は物流拠点、河港として栄え、「江戸の台所」と呼ばれるようになったのです。

佐原観光のベストシーズン

江戸とのつながりは経済的な繁栄だけでなく、文化的な交流ももたらし、ユネスコ無形文化遺産に登録された 「佐原の大祭」のように独自の文化 が発展しました。 300年の歴史があり、高さ5メートル以上もある複雑な装飾が施された山車が曳き廻される独特なお祭りです。祭りは7月と10月に開催され、人々はその素晴らしさを年に2回も楽しむことができます。

私は冬の終わりに佐原を訪れるのがお気に入りです。静かな通りがひな祭り一色になり 、「さわら雛舟春祭り」のイベントでは平安時代(794年~1185年)の衣装を着てひな人形に扮した人々が装飾された舟に乗って小野川をパレードします。

 

川沿いの柳の緑が最も濃くなる8月中旬には、竹あかりに明かりが灯された佐原で行われる「さわら・町並み・竹灯り」は、灯籠に願い事を書いて小野川に流すという、なんとも風情のある光景が見られます。

季節の花も佐原の魅力のひとつ。香取神宮は桜と紅葉の名所ですが、水郷佐原あやめパークでは、6月にあやめまつりが開催されます。祭りの期間中、観光客は小舟に乗って一面に広がるあやめを間近に眺めることができます。6月の特定の日には、日本の伝統的な婚礼衣装を着た花嫁と花婿が伝統的な舟に乗って公園を横断するイベント 「嫁入り舟」 を見ることができるかもしれません。

佐原には四季折々の楽しみがあり、私のように佐原の持つ様々な側面を気に入っていただけると思います。

カジュアルレンタルきものTAWARAYA~着物を着て佐原の伝統的な町並みを散策

今回は、大好きなこの町の風景や雰囲気に溶け込むよう、着物をレンタルしてさらに特別な旅を体験したいと思いました。佐原で着物をレンタルできるところはないかと探したところ、「カジュアルきものレンタルTAWARAYA」を見つけ、新しい冒険にワクワクしながら、すぐに予約しました!

「カジュアルきものレンタルTAWARAYA」は、伝統的な町屋造りの多目的施設「さわら町家館」内にあります。観光客の休憩所として利用されるほか、ネイルサロンやカフェ・焼き芋の店、地元産の米粉を使ったスイーツ店など、TAWARAYA以外にもいくつかの店舗が入っています。 とても魅力的な場所なので、休憩を兼ねて販売されている美味しいお菓子を食べるために何度も足を運んでしまうかもしれません。

店は1階の木の壁に囲まれた美しい畳敷きの一角にあります。私が到着したときには、スタッフがすでに着物に着替える準備をして待っていてくれました。

TAWARAYAは、桜や麻の葉などの日本らしい柄をはじめ、ほとんどの色と柄の着物を取り揃えています。浴衣も用意されており、夏の「佐原の大祭 」や「竹灯り」にもぴったりです。

また、TAWARAYAの着物レンタルは、着物に着替えると洋服やリュックを預けることができ、財布や携帯以外のものを持ち歩く必要がなく、とても便利でした。

華やかな着物の数々をしばらく眺めた後、さまざまな日本の花の柄が入った赤の着物に決めました。赤は私の好きな色ですが、佐原の建物のほとんどが木造のため、そのコントラストが写真に映えると思ったからです。そのことをスタッフに話すと、「これからはそう言って赤い着物を勧めます」と笑いました!

スタッフは着物に合う帯選びも手伝ってくれました。着物の柄の小さな花と同じライトブルーの帯を勧めてくれました。明るめの色を重ねることで、コーディネートをより上品にし、新鮮で明るい印象になるということです!

別料金で、和装小物を付けてかわいい髪型にしてもらったり、和傘をレンタルしたりすることもできます。

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佐原歴史地区の見どころ~江戸時代の暮らしぶりを知る

着物に着替えてから、佐原の歴史的な町並みの散策に出かけました。歩を進めると、 何世紀にもわたって保存されてきた商家や蔵の景観が、この町の長い歴史と、それを守るために地元の人々が行ってきた努力を物語っています。この「小江戸」が、1996年に関東地方初の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたことは、よくわかります。すぐに納得できます。 

小野川沿いや香取街道など、歴史的建造物の多い佐原は昔の風景画を彷彿とさせます。 でも、それは絵画のように時が止まったものではなく、むしろ新鮮で生き生きとして温かみのある美しさを感じました。保存地区周辺には素晴らしい名所がたくさんあり、計画的に回ればすべてを訪れることができます。私は佐原の名所のひとつで、絶対に見逃したくない樋橋を中心に計画を立て、名所や興味深い建物に立ち寄りながら散策しました。

1800年創業の醤油屋「正上醤油店」

町を歩いていて気に入ったのは、川が緩やかにカーブする共栄橋からの眺めです。1800年創業の醤油屋 「正上醤油店」 の白い蔵が目に入ります。200年以上の歴史があり、醤油や地元の魚や野菜を使った醤油漬けの珍味など、美味しく食べられるお土産を買いたいなら、是非店内に入ってみてください。

日本を代表する地理学者 伊能忠敬の旧宅

時間があれば、1793年に忠敬自らが建てた伊能忠敬旧宅にも立ち寄ってみてください。伊能忠敬は佐原生まれで、科学的な手法で初めて完全な日本地図を作成した地理学者です。家の見学は無料で、昔の生活がどのようなものだったのかを知ることができます。春に訪れるなら、庭にある古い桜の木を見逃さないように。淡いピンク色の花が華麗に咲き誇ります。 

水が流れ落ちる珍しい橋「樋橋」

樋橋は小さくて絵のように見えるかもしれませんが、とても珍しい橋です。 かつては用水路を兼ねており、大野川上流から現在佐原駅が建っている下の水田に水を供給していました。 水が必要ないときは、この橋から大野川に水を放流して「ジャージャー」という音を響かせていたことから、「ジャージャー橋」 と呼ばれるようになったのです。この音は非常に特徴的で、「残したい日本の音風景100選」にも選ばれています。現在、この滝のような水の放流は、午前9時から午後5時まで、30分ごとに行われます。

Klook.com

小江戸さわら舟めぐり~水上から佐原の美を探る

樋橋に着く頃には、歩くのとは違う方法で佐原を散策してみたくなりました。小野川に沿って造られた佐原は水と共生する街。水は町に繁栄をもたらし、商人たちは店を構え、立派な建物を建てることができました。そんな水の町・佐原で、小江戸さわら舟めぐりを体験してみるのはいかがでしょうか。

「ぶれきめら」では、月によって運航時間が異なる30分の川めぐりツアーを企画しており、わずか1,300円で、まったく新しい視点から町を案内してくれます。佐原の特徴ある平底の舟 「サッパ舟」 に乗って、伝統的な景観を楽しむことができます。

スタッフに迎えられ舟に乗り込むと、江戸との交易に携わった一人の豪商の人生をたどるため、川上への旅に出ました。

舟の中央にテーブルがあるのに気づき、スタッフがそれは「こたつ」だと教えてくました。ヒーターをキルティングの布団で覆った、日本の冬にちょっとしたくつろぎを与えてくれるテーブルです。私は旅館や友人宅でこたつに入るのが大好きなので、サッパ舟にこたつがありとてもうれしかったです。外が寒くて暗いときでも人が集える空間を作りたいと考えて備えられ、冬のクルーズに参加すれば、シンプルで心安らぐ日本の冬の定番を体験できます。 家族や友人との旅行なら、あったかこたつクルーズもおすすめですよ。

こたつに足を入れながら景色を眺めていると、スタッフが道中の重要な見どころを教えてくれました。 ゆっくりと街中を進んでいくと、くぐる橋の下部構造や、昔は荷降ろしに使われていた「だし」と呼ばれる水面に突き出した石段など、歩いている時には見えなかった細かい部分に気づくことができました。

川沿いのカフェでレトロなスイーツとお茶を「茶屋花冠 上川岸別邸」

舟を下りた後、お茶と昔ながらのスイーツを楽しむのは、佐原の素晴らしい建築物と歴史的な風景を堪能した一日の締めくくりにぴったりのように思えました。そこで、佐原の川沿いに並ぶ見事な木造建築の中にひっそりと佇むカフェ 「茶屋花冠」 に入ってみました。

もともとは漬物屋だったこの建物は、カフェとして生まれ変わり、第二の人生を歩んでいます。佐原を訪れた人が甘いお菓子でリフレッシュしながら、静かにくつろげる場所。この貴重な商家が大切に手入れされ、佐原の日常生活の一部として受け継がれているのを見ると、とてもうれしくなりました。

茶屋花冠の建物は、日本の伝統的な住宅建築様式である「数寄屋造り」を専門とする建築家によって丁寧に改修され、裏庭の蔵や2階へ続く階段 (日本の古い商家に典型的な箱階段) などの壮麗で古い要素を残すように配慮されています。

 私が座った二階からは、町の風景、水面を行きかうサッパ舟が見え、眼下の川のせせらぎを聞きながら、注文の品を待ちました。

 

このカフェには、古い看板や昔の印刷機で使われていた金属製の可動式活字が入った箱など、時代の波を乗り越えてきた興味深いレトロな逸品もあります。食器のセレクションも、精巧な装飾が施されたヴィンテージのカップばかりでした。コレクションの中から私が好きなカップを選んでお茶を出してくれたので、お茶の時間がより特別なものになりました。

「茶屋 花冠」では、お茶選びにもこだわりを持っています。 メニューには、繊細な洋梨茶、まろやかなブラックチェリー茶、スパイシーなマサラ茶があり、それぞれが個性的でユニークだったので、いろいろな味を試してみたくて、ついついポットで何杯も注文してしまいました。

この茶屋の名物のデザート、プリンアラモードも食べてみました。「アラモード」とはフランス語で「流行の」と言う意味で、昭和の時代に大人気を博した洗練されたスイーツです。 日本のフルーツの一大産地である千葉県や隣県の茨城県産のイチゴ、メロン、オレンジなど、季節のフルーツをふんだんに使った夢のようなスイーツがテーブルに登場しました。贅沢なカスタードプリンに使われる卵と牛乳も地元産です。

その場で淹れたお茶の香りに心を奪われ、外の景色と目の前のお茶の饗宴をゆっくりと楽しみました!

佐原商家町ホテル NIPPONIA~歴史的建造物を美しくリノベーションしたホテルで文化と歴史を感じる一夜を

佐原を見て回るのは一日だけでは物足りないかもしれません。江戸時代にタイムスリップしたような旅がしたいなら、佐原商家町ホテルNIPPONIAがおすすめです!佐原の重要伝統的建造物群保存地区に点在する6つのホテル、カフェ、レストランからなる魅力的な施設群は、歴史的・文化的価値のある建物を再利用し、佐原の伝統的な景観を保存しています。

「GOKO」に立ち寄った私は、その美しい木造の外観とロケーションにすぐに魅了されました。佐原の歴史の中心地、小野川沿いに建つ 「GOKO」 には、商家の間取りや蔵造りを残した客室があります。建物は築120年、1901年創業の和紙や線香などの日用品雑貨問屋「並木仲之助商店」の一部を利用しています。

建物は築120年、1901年創業の和紙や線香などの日用品雑貨問屋「並木仲之助商店」の一部を利用しています。

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佐原への行き方~東京と成田空港から2時間弱で伝統の町へ

佐原には東京から2時間足らずでアクセスできます。朝は、東京駅の目の前、東京ミッドタウンの八重洲バスターミナル「東京八重洲」から、8時45分と10時55分に千葉交通の直行バスが発車するので、日帰りでたっぷりと楽しむことができます。バスターミナルは地下 2階にあり、インフォメーションデスクは地下 1階にあります。ここでは、スタッフが時刻表やバス乗り場 (通常は14番乗り場) を教えてくれるので安心です。

チケットは事前に予約できませんが、車内で直接購入し、現金またはICカードで支払うことができます。バスは、佐原歴史地区と反対側の佐原駅北口バス停に着きます。バス停すぐ裏の陸橋を上がると佐原駅正面口前で、歴史地区まで徒歩10分です。 

電車で行く場合は、JR総武線または京成浅草線を利用し、JR成田駅で佐原駅に停車する銚子行きのJR成田線に乗り換えます。 ジャパンレールパスには JR 総武線と JR 成田線の両方が含まれているため、観光のためにパス購入する場合は佐原に行くのがさらに安くて便利になります。

佐原は、成田国際空港からタクシーで 30 分、電車で 1 時間の距離にあり、帰国の飛行機に乗る前に最後に立ち寄るのも、素晴らしい旅の思い出になることでしょう。

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佐原で絵のような日本の昔の風景に浸る

江戸時代の風情を今に残す佐原は、静かでありながら手軽に行ける歴史的な町で、伝統的な日本を体験したい人には最適な場所です。私は再びこの町を訪れ、あまり知られていないこの街の魅力をもっと世界に発信したいと思いました。是非、次の日本旅行で機会があればこの町を訪れ、私と同じように佐原の素晴らしさを体験してもらえたらうれしいです。

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この記事に掲載されている情報は、公開時点のものです。

ライター紹介

Stefania
Stefania Sabia
イタリアで生まれ育ち、10代の頃をアイルランドで過ごしました。現在は東京に住み、伝統的な日本や隠れたスポット、レトロな美的感覚を持つものを探索するのが好き。子供の頃から日本文化に憧れていたため、来日後は日本を探検し、その美しさをインスタグラムで紹介することを使命としています。
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