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日本で本格的な茶道を体験する

今や抹茶は世界的にポピュラーな飲み物になっているため、抹茶のことを全く知らない人は少ないでしょう。 でも日本文化であり、伝統的な茶道としての抹茶を飲んだことはありますか? 今回の「Culture of Japan」シリーズでは、抹茶を中心にその美しくも神秘的な何世紀にもわたる習慣について、英語が堪能な茶道家の方々に案内していただきました。 茶道がどんなものか、私たちが何を感じたかについて紹介していますので、お読みください。

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非日常の伝統的な雰囲気に足を踏み入れる

暖かい秋の日、私たちは東急東横線都立大学駅から徒歩で約10分の地にある東京の閑静な住宅街で、目的地である「とうりあん」の飾らない木造の外観を見つめていました。 和服を着た亭主たちが出迎えてくれた後、木の門をくぐり、森閑とした庭園が見える畳敷きの間に案内されました。

日本の伝統的な雰囲気に包まれ、すぐに茶道への期待が高まります。茶道は日本人にとっても日常的なことではありません。 すでに外の世界から隔絶された気分になり、茶道について学ぶのにふさわしい場所に来たことを感じました

日本の茶道の歴史

お茶は何世紀にもわたって日本文化に欠かせないものでした。 もともとは主に薬用として使用されていましたが、後に精神的な対象へと発展しました。 貴族や武士が茶道をたしなむようになると、くつろいだ雰囲気の中でのおもてなしや会話、おいしいお茶を楽しむものとなり、それは時代を超えて今に受け継がれています。

「茶道」または「茶の湯」とも呼ばれる現代の日本の茶道は、16世紀に茶聖・千利休によって創始されました。その後、茶道は幾つかの流派に分かれましたが、利休の子孫によって創始された3つの流派(裏千家、表千家、武者小路千家)が最も有名です。

日本茶道の国際化に尽力する二人の茶人

私たちが参加した茶道は、30年以上も茶道を続けている2人の茶人、舩越宗英(ふなこし・そうえい)さんと河田宗愛(かわだ・そうあい)さんが主催するもので、裏千家の流儀に沿ったものでした。 お二人の名前は、一定のレベルに達した茶人に与えられる「茶名」です。

茶名を得ること自体が相当難しいことですが、宗英さんも宗愛さんもその域をはるかに超えています。 ご両名とも流派の大宗匠(本来は宗家)から直々に与えられる号である「教授」にランクされており、これは並大抵のことではありません。茶人は何年もかけてその技術を学びますが、たとえ高位の茶人であっても学ぶべきことは常にあると、お二人は言います。

宗英、宗愛の両氏は、裏千家が海外でも積極的に講演や茶事を催し、この美しい日本の習慣を世界に伝えようと努力していることに惹かれました。国や文化に関係なく、一服のお茶を介して多くの人がつながることができることに心を動かされたそうです。

今では約16年にわたって日本の茶道を教えており、茶道を経験したいという国内外の人々を受け入れています。 茶道には多くの準備が必要ですが、宗英さんと宗愛さんは日本のおもてなしの心を発揮し、日本の文化を共有できることに誇りを感じると同時に感謝をしています。

一期一会 - 茶道の一瞬一瞬を味わう

日本の茶道では「一期一会(いちごいちえ)」という考え方があります。これは、まったく同じ経験は二度とできないというもの。 たとえ別の茶会に参加しても、道具や装飾、天候など、多くの点で異なります。 だからこそ茶室にいる間は、その瞬間に身を置くことが重要なのです。

茶道が行われる畳の茶室に入ると、現代では珍しい、炉の炭から出る暖かさを感じました。炭を丁寧に準備するには時間と手間、費用がかかるため、通常の茶道教室や気軽な集まりでは電気コイルでお湯を沸かします。

赤く光る炭を見たのはうれしい驚きで、私たちが手厚いおもてなしを受けていることを感じました。 涼しい時期には炉が、暖かい時期には風炉が使われます。私たちが訪れたのが秋だったので、炉がすでに開かれており、肌寒い季節になったという感覚が一層強くなりました。

※炉と風炉の違い…炉とは、火を入れて燃え続けさせておく所。大まかに分けると、畳の中にあるのが「炉」で、畳の上にあるのが「風炉」で、季節によって使い分ける。

宗英さんが使う茶道具は丁寧に陳列されていて、私は床の間に向かって目を凝らして見ていました。日本の茶道において四季は特に重要な役割を果たしているため、亭主は季節の感覚を客人に伝えようとし、客人が喜ぶものを考えます。

そのため、使用する道具も季節によって変わります。 その日、目を引いたのは、金色の流れに楓と桜が浮かぶ模様が描かれた棗(なつめ)でした。

床の間もまた、「一期一会」の考えを際立たせるため茶道に欠かせないものです。茶事に季節感やテーマを持たせるため、亭主は掛け軸や生け花で季節を演出します。宗愛さんは、掛け軸に書かれた意味や生け花について紹介をしてくれた後、床の間の飾りの正しい鑑賞方法や茶室での作法を教えてくれました。

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茶道以外ではめったに味わうことのでない濃茶をいただく

床の間を鑑賞した後、宗愛さんは私たちを席に案内し、正しい座り方について説明してくれました。 一般的に「正座」と呼ばれる日本の伝統的な座り方で、かかとの上に腰を下ろし、脚を折りたたむ姿勢です。 しかし、この姿勢を続けることは難しいので、膝と足首に負担がかからないよう低い椅子が用意されることもあります。

私たちが所定の位置に着くと、襖が開き、宗英さんは漆の箱を持って現れました。全員が整列し、お辞儀をして茶道が正式に始まりました。

華やかな和菓子で口蓋を準備する

実際にお茶をいただく前に、運ばれてきたお菓子をいつ、どのように食べるかについて亭主が教えてくれます。 抹茶は体に良いとされていますが非常に濃いので(特に濃茶は)、抹茶の苦みを和らげ、お腹を整え、口の中を甘さで満たすためにお菓子が用意されています。

菓子は季節によって変わり、秋に訪れた際には、紅葉の山を表現した上生菓子をいただきました。食べるのがもったいないくらい美しかったです!

お菓子や抹茶をいただく際に客人がしなければいけない作法がありますが、宗愛さんが優しく教えてくれるので、戸惑うことはありません。

茶人が茶道におけるそれぞれの役割について覚えておかなければならないことの多さに驚かされます。彼女の指示に従うことで、茶道に必要な躾を理解し、その瞬間に没頭することができました。

濃厚な濃茶を味わう

今回の体験で最初に点ててくれたお茶は、こっくりととろみのある濃厚な抹茶「濃茶」でした。 正式の茶道以外では、出される抹茶のほとんどが飲みやすい薄茶であるため、これはほとんどの人が味わったことのない贅沢なお茶です。

「とうりあん」で濃茶を紹介するようになったのは、この種の抹茶のことを知った外国人観光客から試してみたいと問い合わせがあったから。茶道を体験しても、必ず濃茶が出されるわけではありません。薄茶は一般的なので、濃茶が飲めるのは本当に特別な気分でした。

日本の茶道は静寂な雰囲気に包まれ、何世紀にもわたって精神修養の場として用いられてきた理由がよく分かります。 宗英さんの手が道具から道具へと優雅に動くのを眺めていると、照らされた部屋の中で、まるで世界全体が暖かく縮小されたように感じました。

すべてが意図を持って行われているので、亭主の動きをよく見てください。茶人が客人に最も美味しいお点前を提供できるように、何年もかけて修行しているからだと、宗英さんは言います。

日本の茶道にはおもてなしの精神が込められています。道具を清めることからはじまり、抹茶の粉と水を取り分けるところまで、お茶を点てる一つひとつの手順は客人のためにあります。私はお菓子をいただきながら、宗英さんがお茶を点てるときの水の音や茶筅(ちゃせん)の擦れる音に催眠術をかけられたようになり、その流れるような動きから目を離すことができませんでした。

点てられたお茶碗を持ち上げると、体験にさらに深みが加わりました。わびさびという日本の美意識は、日本の茶道のもう一つの重要な要素であり、その日私に出された赤い茶器「楽茶碗」はその代表的な例です。 わびさびは不完全の中の美を強調するもので、釉薬で塗られた少し凹凸のある粗い表面を持ち、息をのむような美しさの茶器から目が離せなくなりました。

濃茶は濃厚で青々とした風味があり、抹茶の粉末が多く使われているので、薄茶で飲むよりも強い味わいを持っています。 濃厚なため、抹茶の味が口の中に残り、お茶の風味を最大限に味わうことができました。

多くの人が抹茶を薄茶でしか飲んだことがないでしょうから(おそらく、抹茶ラテなどミルクでさらに薄めているでしょう)、濃茶は初めて飲む人にとってはかなり濃く感じるかもしれません。 抹茶は茶道に欠かせないものなので、その味が苦手な人は濃茶を試すことをためらってしまうかもしれません。 しかし宗愛さんは、茶道に参加することで本当の抹茶を知り、日本の茶道やお茶に対する新しい認識が得られるかもしれないと言います。 複雑な苦味がくせになるかもしれません!

お茶を飲み終えて茶碗を返すと、茶道で使用された道具を鑑賞します。 茶人以外の人が本格的な茶道具を間近で見る機会は少ないため、亭主が茶道に選んだ茶道具について説明を聞いたり、疑問に思ったことを質問したりするチャンスです。

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スピリチュアルな体験の締めくくりを薄茶で

これは抹茶好きにはたまらない体験です。濃茶を楽しむだけでなく、伝統的な茶道の手順に従って薄茶で締めくくります。薄茶は一般的に知られる抹茶で、裏千家流では、軽く泡立てて、ほのかな甘みを加えます。

薄茶を楽しむ前に、季節ごとに変わる「干菓子」が出されます。 ほのかな甘さがまろやかな薄茶の苦味を見事に引き立て、濃茶の後を締めくくる素晴らしい味わいでした。薄茶を飲み終えたら、濃茶とは違うお茶を点てる道具も見てみましょう。

すべてが元の位置に戻され、最後にお辞儀をして茶道は終了です。

茶道に参加する際の注意点

宗英さんと宗愛さんが茶道の所作や作法を指導してくれますが、茶道を最大限に楽しむためには、事前に心得ておくべきことがあります。

静かな雰囲気を乱さない

茶道は心を落ち着かせ、内省することを目的としているため、お茶を点てている間は会話を控え、静かにその瞬間を楽しむことをお勧めします。 これにより、亭主が長年磨いてきた技術に集中し、鑑賞することができるだけでなく、瞑想的な雰囲気に浸ることができます。

質問などがあれば、道具を鑑賞したり、茶道が終わった後に尋ねることができます。

茶室にふさわしい服装をする

茶室で着用する白い靴下を持参し、脚が隠れるズボンを着用してください。

白い靴下は一般的な茶道の作法に沿うもので、茶室の清潔さを守るために白い靴下の着替え(茶室まで履いてきたものではない)を持っていきましょう。

座ったまま畳の上を移動する必要があるため、長いズボンで脚を覆い、肌が畳で擦れるのを防ぐことができます。 ただし、デニムはざらざらしていて畳を傷つける恐れがあるため、お勧めしません。

着物を着たい人は、Wabunkaの体験にオプションがあります。

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他人と茶器へ敬意を払う

アクセサリーや香水は、身に着けないでください。 特に指輪はこすれて音をたてたり、繊細な茶道具を傷つける可能性があります。 香水は、五感を使って集中しているときに、気を散らすマイナスな存在になりかねません。

亭主への敬意を示す

最後に、言うまでもないことですが、時間は厳守しましょう。 これは、亭主や他の参加者の時間を尊重することであり、それによって茶道の一瞬一瞬を楽しむことができます。

もっとも大切なのは、その場にいる人たちに配慮をすること。 大声での会話や刺激的な香水は邪魔になり、亭主が作り出そうとしている落ち着いた雰囲気を壊してしまいます。

著名な茶人から日本の茶道の奥深さを学ぶ

茶道は、五感が研ぎ澄まされ、すべての感覚を楽しむことができ、信じられないほど瞑想的な経験となりました。 宗英さんの流れるような優雅な動き、抹茶とお菓子の香りと味、炭がぱちぱちとはじける音、畳の上を歩く崇英さんの足どり、陶器の茶碗の感触、これらすべてが貴重なひと時を演出してくれました。

宗愛さんは英語に堪能で、あらゆる事柄やニュアンスを説明することができるため、英語を話す人にとって「とうりあん」は本格的な日本の茶道を体験するのに最適な場所です。 茶道について書かれたものを読むのと、実際に茶人に説明してもらうのとは全く異なります。後者では、その精神性を理解している人から経験に基づく話を聞くことができます。

また、この体験がプライバシーに配慮していることも気に入りました。茶道に興味があるけれど、人前できちんと振る舞うのは緊張するという人に最適です。 茶室は親密でフレンドリーな雰囲気だったので、失敗することを心配することなく、茶道について優しく指導してもらい、気軽に質問することもできました。

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本の伝統的な茶道で五感を刺激する

多くの国には独自のお茶の文化がありますが、茶道は日本で何百年にもわたって独自の習慣として発展してきました。 日本の茶道は、日本のおもてなしの神髄を表し、日常の慌ただしさをしばし忘れさせてくれます。 日本の伝統文化を感じながら、おいしい抹茶や和菓子を楽しむのもいいですよ!

この瞑想的な体験を自分で試してみたいという方は、Wabunkaをチェックしてみてください!また、茶道の茶懐石を体験してみたいという方は、Wabunkaのプランでオプションもあります。

Wabunkaについて

今回の体験コースは「Wabunka」サイトを通じて予約しました。このサイトは訪日外国人観光客に茶道、華道、寿司、和菓子、金継ぎ(金で碗を補修する技法)など多くの日本文化体験コースを提供しています。しかもすべて英語で受講することができるので、本物の良質な日本文化を体験したいなら、Wabunkaサイトで予約してみてください!
日本語:https://wabunka-experience.com/?ref=mtonjmpr
英語:https://otonami.jp/wabunka?ref=mtonjmpr

※この記事は、Wabunkaから体験の無償提供を受けて作成していますが、記事内の感想などは全てライター個人の意見です。

この記事に掲載されている情報は、公開時点のものです。

ライター紹介

Kim
Kim S.
アメリカで生まれ育ち、現在は東京を拠点に活動しています。日本の伝統文化が大好きで、レトロやローカルな雰囲気、タイムスリップしたような気分にさせてくれる場所を求めて、日本中の静かな街や穴場を訪れています。47都道府県のおいしいコーヒーショップや知られていない素敵な場所を探すのも楽しみのひとつ。
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