古き良き物との出会い、人との出会い 〜東京大江戸骨董市を見て回ろう

日本文化を愛する人の中には、モダンな建築物や人に寄り添った科学発明など「新しい」部分に関心を示す人もいれば、服飾や料理、民芸品などといった伝統を感じる「古い」部分に愛着を持つ人もいます。筆者はどちらかと言えば後者です。特に日本の骨董市で出会える品物の豊富さに感心し、休みの日には、骨董市やフリーマーケットによく出かけています。その中でも、個人的に最もよく行くのが東京の大江戸骨董市です。骨董品が好きな方や雰囲気を味わうような散歩を楽しみたい方、ぜひこの特集企画「Area of Japan ~友達に案内したいおすすめの場所」で、日本最大級の露天骨董市である大江戸骨董市に一緒に出かけませんか?

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※この記事は大江戸骨董市事務局様のご協力を頂き、作成しました。

日本最大級の露天骨董市、大江戸骨董市

毎月第1・第3日曜日に有楽町の「東京国際フォーラム・地上広場」で開催している大江戸骨董市は、日本最大級の露天骨董市ともいわれます。国内で注目度を集めるだけではなく、海外メディアでも取り上げられたことから、骨董好きの外国人バイヤーもわざわざ訪れるほどの骨董市なのです。

江戸幕府の開府400年をきっかけに始まった骨董市

大江戸骨董市実行委員会事務局の浅野さんによると、大江戸骨董市は江戸幕府の開府400周年をきっかけに、骨董品の良さを発見し、文化・芸術の交流の場を築くことを目的に、2003年の9月に始まったそうです。当時開催場所を探すにあたり、東京国際フォーラムと話し合った結果、当時はまだ使用する人がいなかった地上広場で開催することになったそうです。有楽町の他にも、コロナ前には不定期で代々木公園で開催することもあったといいます。

和と洋を融合したユニークな会場の雰囲気

日本の骨董市は古くから存在し、いろいろな地域でよく開催されていますが、その多くは出品ジャンルが明確に分類がされているものではありません。西洋の骨董品または日本の骨董品に焦点を当て、それぞれ独自の機能を担っているのです。

これに対し、大江戸骨董市は1つのテーマに絞られておらず、現地では日本や西洋の骨董品のブースが隣り合わせで出店されていたりします。日本の骨董品はもちろんのこと、ヨーロッパの雑貨や古い品物も数多くあり、あらゆる年代・国の骨董品が一同に集まっています。このようにバラエティに富んだ大江戸骨董市は「ジャングルのようなもの」であると浅野さんは言います。

日本の和服のブースがあるかと思えば、西洋のアンティーク食器のブースもあり、18世紀イギリスのものを見ていたかと思えば、次は20世紀大正時代のものを見る。大江戸骨董市に出店する業者の年齢層は幅広く、若い人も多いため、簡単な英語や中国語ができる人がいらっしゃる場合もあります。

筆者は以前、ご年配の経営者が積極的に外国のお客さんと身振り手振りを交えて話しているのを見たことがありました。出展者と来場者が一丸となって活気のある雰囲気を作り上げており、美術品や骨董品の専門知識がなくとも、海外のマーケットを歩くのと同じように自由に回ることができるでしょう。

骨董市初心者が楽しむ方法

来場するのに良いタイミング

大江戸骨董市は通常午前9時に始まり、午後4時まで開催されます。アウトドア骨董市であるため、天気などの影響を受けやすく、雨が降った場合の開催の有無や開催時間は当日公式ウェブサイトにて発表されます。

筆者の経験によれば、多くの愛好家達は開場と同時に続々と入場し、それぞれのブースで夢中になりながらお宝を探すようです。そして正午になるにつれ、来場者がどんどん増え、あたりは熱気に満ちた様子になります。終了時間は午後4時とされていますが、多くの店は3時頃からブースの片づけをはじめ、お客さんの対応をやめていきます。人混みを避けながらも、お気に入りのものが他の人の手に渡ってしまうのを避けるには、早めに会場に訪れることをお勧めします。

事前に日本円で現金を準備する

一般的に骨董市の出店者の多くは個人経営であり、大江戸骨董市も例外ではありません。現地のブースの大半は現金でやり取りをしているため、事前に日本円の現金をじゅうぶんに用意することをお勧めします。ちなみに予算はどのくらい用意すればよいでしょうか?数千円のアンティークの食器から数万円の時計や壁飾り、数十万のアンティーク家具まで様々なので、買いたい品物が何によって大きく変動します。

とはいえ、もし当日現金が足りなくなることもあるかもしれません。そのような場合は、東京国際フォーラムの地下1階のコンビニ(Family Mart)や近隣の新国際ビルの1階のATMでもお金を引き出すことができます。

出店者との会話のコツ

骨董市は品物の流通の場である以外にも、骨董品愛好家の交流の場でもあります。骨董という森に足を踏み入れて日の浅い初心者は、初めて骨董市に参加するにあたり、出店者とどのように交流すればいいか、戸惑いを感じることもあるでしょう。そこで、浅野さんに出店者と自然に会話を始めるきっかけの作り方を伺いました。例えば、骨董品に触れる前に、出店者に声をかけるのが良いそうです。「手に取っていいですか?」や「これいいですね!」などと出店者にフレンドリーに話しかけ、自分と出店者が同じものを好きだという気持ちを共有しながら、自然に話題を展開させるのです。

目で見るだけでなく、実際に骨董品に触れてみて、その質感を感じるのもまた、骨董品を知るには良い方法ですので、ぜひ出店者に丁寧に聞いてみてください。出店者の方々が喜んで品物について解説してくれることもあるでしょう。

骨董品を持ち帰る方法

食器や割れ物を販売する出店者の中には、緩衝材や新聞紙を用意してくれている方もいらっしゃいます。比較的大きな品物は、保護のために紙の箱を用意して頂ける場合もあるでしょう。実際の状況は出店者によって違いますが、せっかく購入した宝物は、やはり細心の注意を払って取り扱いたいものです。海外観光客の方々で適当な緩衝材を持ち合わせていなかったなら、ビニール袋や上着を1~2枚カバンにいれて、簡易的な緩衝材として利用するのもいいかもしれません。

これで、大江戸骨董市の由来や初心者がどのように骨董市に参加すればよいかがわって頂けたかと思います。次は筆者が実際に訪ねた骨董市の当日の様子を見てみましょう。

当日の骨董市の様子

イギリスからのアンティークを中心にしたセレクトショップ

大江戸骨董市ではヨーロッパの食器を売っているブースは多くあります。この日出会った神奈川県のアンティークセレクト雑貨店menuは、イギリスからのものを売っていました。1950~1970年代のイギリスの食器や繊細で可愛いガラス瓶、少なく見積もっても100年~150年の歴史があるだろう19世紀末~20世紀頭の肘掛け椅子といった家具など、イギリスが大好きな人にとっては見逃すことのできないブースです。menuはほぼ毎回大江戸骨董市に出店しているそうで、筆者も以前シルバーの食器を買ったことがあるのですが、店主はとても親切で、どのようにメンテナンスすれば良いか熱心に教えてくれました。

個人コレクターのようなアメリカのおもちゃブース

まるで自宅のコレクションがそのまま市場にやってきたかのように、おもちゃ屋さんのようなこちらのブースは、1組の老夫婦が経営しています。ブースに飾られているのはアメリカのオブジェや製品です。1960年代の鮮やかな色彩と精緻な細工が施されたアメリカンドールから、アメリカの食器、ロトロな鉄製の看板、様々な色や形のボタンに至るまで揃えており、その豊富な品揃えは若い女性からお年寄りのおじいさん、外国からのお客さんなど、あらゆる層のお客さんを引き寄せます。

伝統の小物に新たな命を吹き込む和モノ屋

骨董市をふらふらと歩きながら見回している時に、思わず足を止めてしまったのが、こちらのブース。アースカラーで質素でありながらも温かな和風な雑貨が並んでいます。ぱっと見て、筆者の目を引いたのは、美しいアーチの藤編みのカゴでした。

店主のおじいさんはいろいろと熱心に紹介してくれました。彼の骨董品の大半は大正時代(1912~1926年)から昭和時代(1926~1989年)初期のものだそうです。こちらの美しい藤編みのカゴは、既に80~100年の歴史を持つ釣り道具で、昔の人は腰にかけて、釣った魚を中に入れていたそうです。現代では紐をつけて壁にかけ、壁掛け花瓶として使う人もいるようです。なるほど、オブジェとして飾るしか用途がないと思っていたものも、そんな使い方があるのですね!

古き良き時代を「額装」する絵画店

こちらでは、地面の上に無作為に置かれた絵画が層をなし、時折やってきたお客さんが眺めて楽しんでいました。壁にかけられた洋画の他にも、A4サイズの芸者のシルエット画など、各種紙のアートが集められています。そのような数ある絵画が並ぶ中、特に筆者の目を引いたのは、片手では持ち切れるかわからないほどの大型のそろばんです。

個性溢れる店主の話によると、このような大型のそろばんは以前に学校の先生が数学を教えるときに実際に使っていた道具だそうです。黒板の前で生徒に使って見せていたもので、現在では見る機会はほとんどありません。昔のそろばんの珠は5珠であったのに対し、こちらのそろばんは4珠であり、計算する際の効率を高めるために改良された昭和期のものであることを、この大きなそろばんの珠を指さしながら店主が教えてくれました。

着物や小物まで集まる、多様性がある骨董市

会場をぐるっと一回りをすると、大江戸骨董市のブースは特定の品物を売る専門店から雑貨を売る店など、実に様々なジャンルが集まっていることがわかります。さらに言うと、ここは中古の着物を販売するブースが集まる場所としても知られており、着物の他にも羽織・帯・草履・端切など着物に関連する小物も取り扱っています。現地では、着物を着た人が買い物をしに来ている様子もしばしば見られます。骨董品愛好家も、掘り出し物を探しに来た人も、単純に骨董市がどういうものか気になってきた人も、多種多様な人で賑わっている大江戸骨董市は、誰もが時の流れを忘れ、その魅力に夢中になる場所なのです。

大江戸骨董市 開催情報

大江戸骨董市で時代と国を超えた出会いに巡り合う

大江戸骨董市では時代、年代、言語、そして国境を超え、歴史を感じさせる骨董品に出会うことができます。さらには、骨董品の売買の場所であるのみならず、歴史や文化の魅力を存分に映し、骨董品の良さを再発見できる場所となっています。のんびりとしつつも賑やかさも感じられる雰囲気の中、たくさんの縁と発見があなたを待っていることでしょう。東京でタイミングが合えば、あなたもぜひ大江戸骨董市を訪れてみませんか?

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ライター紹介

Fuchi
Fuchi Pan
東京で暮らす台湾出身。「自然を尊重し、旬のものを楽しむ」という日本の食文化に惹かれて、その魅力を、人々に届けたい思いで発信している。手仕事の温もりを感じる器やヴィンテージ道具に囲まれる暮らしも憧れの的。