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形状や素材に限定されず、変化を続ける鋳物の世界を探索しましょう

「鋳物」の用途は非常に広く、道端でよくみかけるポストやマンホールの蓋から、日用品、美術作品、精細な自動車部品、さらには世界的に有名な奈良の大仏まで、実はすべて鋳造という方法によって作られた「鋳物」なのです。日本は世界第4位の鋳物生産大国であり、今回の「Culture of Japan」特集シリーズでは、日本の鋳物について、いくつかのことをご紹介します。筆者も日本橋で開催された鋳物ワークショップに参加し、図案デザイン、型の製作から始まり、鋳造の過程を段階的に体験し、唯一無二の錫製コースターを完成させました!

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鋳造と鋳物とは?

人類最古の金属加工技術は、融点の低い金、銀、銅、青銅、黄銅などの銅合金を高温で溶解した後、砂や鉄製の型に入れて冷却凝固して様々なものを作る方法で、この過程を「鋳造」と言います。「鋳物」は鋳造方式によって製造された様々な種類の物の総称であり、形状が複雑であっても低コストで大量に製造できるのが特色です。

日本の鋳造史

日本で出土した銅鏡、銅剣などの遺物から製造された時代を推測すると、日本の鋳造技術は弥生時代(西元前10世紀~3世紀中期)を起源として、古墳時代(3世紀~592年)と飛鳥時代(約592年~710年)の後、鋳造方式で作られた器や工芸品、仏像、祭祀道具などの遺物が各種出現し始めました。

金属製品やその代替品が大量生産・安定供給されていなかった江戸時代(1600〜1868年)までは、日本各地で鋳物の製造が盛んでした。伝統工芸品に数えられる岩手県の「南部鉄器」、富山県の「高岡銅器」などは、当時から現在に伝わる歴史ある鋳物工芸品です。一方、埼玉県川口市のように明治時代(1868年~1912年)以降に鋳造を中心とした近代金属工業が発展した地域もあります。

豆知識:世界最大の鋳物は日本にあります

日本で鋳物製作が始まったころは、権力を示すために、主に神様を祀るための道具として作られました。このため、宗教に関連する鋳物がたくさんあります。日本の関西地区の観光名所として知られる「奈良東大寺の大仏(盧舎那仏像)」は、高さ14.85メートル、重さ260トンの世界最大の青銅鋳物です!当時、仏教に帰依していた聖武天皇は、国の安泰と国民の幸福を願って大仏建立を決意し、銅、錫、金、水銀などの鋳造用の材料を全日本国民から募集し、42万もの人が寄付に応じました。

この大きな作品は、まず土で仏像の模型を作ってから、土の仏像を横8段に切って、下から上の段に分けて鋳造して、10年近くを費やして完成したそうです。1300年以上の時を経て、今も奈良の大仏を超えるサイズの鋳物は誕生していません。

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鋳物の特徴と鋳造で発生する問題

鋳物の特長は、形状と大きさの自由度が高いこと、材料の自由度が高いこと、大量生産が容易であることなどです。どんなに複雑な形状であっても、型を作ることができれば、溶けた金属液体を流し込むだけで同じものを繰り返し作ることができます。成形してから手作業で切削しても、さまざまな道具を使って一からひとつずつ作るより手間と時間を省くことができます。

鋳造に使用できる金属にはたくさんの種類があり、例えばマンホールの蓋やフライパン、自動車部品などを製造できる「鉄」、優れた熱伝導性と耐摩耗性を持つ「銅合金」は水道管関連部品、機械部品、銅像などの美術品を製造することができます。軽量で熱伝導性が高く、外観が美しくて回収可能な「アルミニウム合金」は、様々な鋳造法に適し、自動車部品の製造に多く用いられています。またマグネシウム、チタン、錫などの金属も、一般的な鋳物材料です。

しかし、鋳造を行う際には、いくつかの問題も頻繁に発生します。例えば型の寸法が間違っていたり、金属の熱膨張と冷縮によって形状が予想していたものと異なったり、金属液体を注入するペースによって完成品に気泡が発生したり、金属液体が金型の隅々まで均一に流れなかったりするなどです。理想的な鋳物を作るには、やはり苦労してコツをつかむ必要があります。

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伝統工芸品「山形鋳物」と「南部鉄器」

現在、鋳物は日本では日用品、芸術品、工芸品などの「工芸鋳物」と、農業器具、機械部品、自動車部品などの「機械鋳物」の2つの分野に分かれています。

工芸鋳物の中でも「山形鋳物」は伝統工芸品の代表的なものの一つと言え、約1000年前の平安時代後期が起源とされています。山形市内の馬見ヶ崎川や千歳公園付近の土質が鋳物作りに適していることが発見されたことで、同地で鋳造が発展し始めました。山形鋳物の型の形状は非常に独特であり、文様押し、肌打ち、本漆塗りなどの伝統的な技法によって、薄くて軽く、質感と形状が繊細で美しい完成品を作り出しています。

もう一つの有名な鋳鉄物「南部鉄器」は、江戸時代に岩手県南部藩の藩主が、鋳物産業を奨励するために京都から鋳物師を招いて発展しました。岩手県の土地は鉄分が豊富で鋳物産業に適しており、現在では盛岡市や奥州市に製造場所が多くあります。商品には急須や鍋が多く、鉄瓶が最も有名で、外見に無数の丸い突起があることが最大の特徴であり、「孫の代に伝えることができる」と言われるほど、頑丈で耐久性があります。

「meta mate誠品生活日本橋店」で鋳造の体験

「meta mate」は広島の鋳造メーカーCastemが運営する金属雑貨店で、アクセサリー、ミニ可動式金属模型、金属食器、酒器、名刺入れなど、多くの精密鋳造商品を販売しています。Castemオリジナル商品のほか、日本各地から優れた金属製品を集めて陳列販売しています。一部の商品は現場で字を彫ることもでき、贈り物にも、自分用の記念品にも適しています。

鋳造など日本の金属工芸に対する認識を深めるために、COREDO室町テラス2階にある「meta mate誠品生活日本橋店」でいくつかの体験コースが開催されています。今回はその中の「豆皿・コースターのワークショップ」に参加してみました。鋳物作品がどのように誕生するのかを一緒に見てみましょう!

STEP 1

まず紙に好きな輪郭や模様を描きます。型を作ることができれば、形も模様も自由に選べることが、鋳物の大きな特色です。しかし複雑な図案ほど、その後の型作りのステップが大変になり、初心者は円形でシンプルな図案を組み合わせることが多いと聞きました。それでも以前に、金魚の形や模様をデザインした人もいたそうなので、きっと完成した時の達成感は大きかったに違いありません!

STEP 2

紙に描かれた図案の輪郭を切り取り、シリコンマットの下に敷いてナイフで輪郭に沿って切り取ります。

STEP 3

紙に描かれた模様を切り取り、板に貼り付けます。これが凹凸模様を作ります。ここまでで鋳造用の型が完成です。

STEP 4

鍋に錫を入れて加熱します。錫の沸点は低く、約232度で溶けます。溶けて液体になった錫の表面に薄い膜ができるので、スプーンで取り除いてください。

STEP 5

型を板に固定し、あらかじめ開けてある注入口から錫を流し込み、冷却を待ちます。

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STEP 6

錫が冷めたら板を外し、ペンチやヤスリなどの道具で角を整えればコースターの完成です。豆皿を作りたいのであれば、錫はとても柔らかいので、完成品に少しカーブをつけるだけでいいのです。

筆者は2つの桜の形をしたコースターを作りました。簡単そうに見えますが、図案の凹凸の位置を決める際に苦心したことで、鋳物職人の方の、図案の凹凸効果を計算する際の緻密な考え方や、型作りと鋳造時の精密な作業の難しさを実感し、頭が下がる思いでした。まさに「始めるのは簡単、上達するのは難しい」というのが鋳造という技術でしょう。手作り鋳物の楽しさを体験し、この工芸のことを少し知りたければ、時間を作って、meta mate誠品生活日本橋店の鋳物体験イベントを予約してみてはいかがでしょうか。

この記事に掲載されている情報は、公開時点のものです。

ライター紹介

Ying
Ying Lu
台湾出身、東京在住。ライブ鑑賞や二次元文化などサブカルチャーが好き。池袋によく行きます。
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