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栃木県日光日帰り旅行:日光東照宮から湯波料理まで魅力溢れる世界遺産の町

栃木県の北西部に位置する日光市は、東京浅草から2時間足らずでアクセスできる観光地。山々に囲まれたこの街には、いくら見ても見たりないほどの美しい風景があるだけでなく、荘厳で美しい世界遺産を楽しむこともでき、また美味しいゆば料理も味わえます。これだけの魅力を兼ね備えた日光市、国内外の旅行客がこぞって訪れるのも不思議ではないでしょう。今回の特集企画「Area of Japan 東京発の日帰り旅行」では、晩秋の日光を訪れ、日光東照宮・神橋などの歴史遺跡を巡り、地元の人のおすすめの料理を食べ、秋ならではの景色を楽しみました。以下で筆者が体験した日光日帰り旅行をご紹介します。ぜひ旅の参考にしてください。

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栃木県日光市:豊かな自然の中で歴史の息吹を感じる

栃木県北西部に位置する日光市は、東京の北側にあり、西は群馬県に、北は福島県に隣接しています。地形の高低差が激しく、海抜約200mの平地から、日光国立公園などを中心に2,000mを超える山岳地帯、さらには温泉地などもあり、多彩な景色が楽しめます。

日光は、豊かな自然景観とその多彩さで知られていますが、歴史的に非常に意義深い場所でもあります。17世紀に、江戸幕府初代将軍徳川家康の墓所がこの地に移されてから、日光は徳川家の先祖を祀る聖地となり、江戸幕府の権威を支える重要な拠点となりました。現在、日光は自然景観と豊かな歴史遺産が残る観光地として、国内外の観光客に大変人気があります。

東京から出発する際のアクセス方法とお得なパス

東京都内から日光までのアクセス方法は、新幹線・東武鉄道特急列車などの公共交通機関があります。交通手段によって多少の差はありますが、およそ2時間以内で到着することができます。

【東武鉄道】

特急列車スペーシア

淺草駅→東武日光駅 3,050円〜/約1時間50分

北千住駅→東武日光駅 3,050円〜/約1時間50分

新型特急列車スペーシアX

淺草駅→東武日光駅 3,340円〜/約1時間50分。料金は乗車駅、車両、座席によって異なります。

2023年夏に運行を開始した新型特急「スペーシアX」は、東京浅草と日光・鬼怒川温泉を繋ぐ観光列車です。「スペーシアX」の車両は日光らしさを最大限に表すべくデザインされています。ボディーは、日光東照宮の陽明門の柱にあしらわれている「胡粉(ごふん)」を彷彿とさせる高貴な白色で、まるで陶磁器のよう。、車両から車窓に至るまでの設計、そして座席までの内装は、落ち着いた高級感のあるものに統一され、いたるところに現代文化と伝統文化の融合が感じられます。

しかし、最も注目なのは列車内に設置されたカフェでしょう。特急「スペーシアX」限定の日光ラガービールや日本酒、ブレンドコーヒーなどの飲み物をはじめ、栃木のブランド豚「あさの豚」や日光のブランド鱒「頂鱒」などを燻製して作ったおつまみ、酒粕とチーズのジェラート、酒粕のバターサンド、羊羹などのスイーツなどが提供され、一緒に楽しめるようになっています。

このように「スペーシアX」では、乗車したその瞬間から、日光文化に浸りこむことができるので大人気。チケットはすぐに完売してしまうので、早めの予約がおすすめです。

※SPACIA Xウェブサイト:https://www.tobu.co.jp/spaciax/

JR線直通特急 スペーシア日光

新宿駅→東武日光駅 4,090円〜/約2時間

【新幹線】

JR東北新幹線+JR日光線

東京駅→宇都宮駅(JR日光線に乗り換え)→日光駅 5,480円〜/約1時間35分

日光駅到着後、東武日光駅まで徒歩3分

 

「スペーシアX」ではなく、通常の新幹線で向かう場合は、「東京駅」から、宇都宮駅行きの東北新幹線に乗り、「宇都宮駅」で日光電鉄に乗り換え「日光駅」に向かいます。東京駅からは2時間程度で到着します。

外国人観光客限定の「JR TOKYO Wide Pass」と併せて使いましょう

関東エリアを回るのに欠かせないJR東日本鉄道の優待パス「JR TOKYO Wide Pass」を併せて使うのもおすすめです。このパスがあれば、連続3日間、関東の特定区域内で何度でも新幹線やJRの電車に乗ることができます。

例えば、先に挙げた東京駅から宇都宮駅に行くまでの東北新幹線や、宇都宮駅から日光駅に向かう電車のいずれもこのパスを使用することができます。もし旅行の際に時間に余裕があるなら、日帰りや一泊で日光を旅行して、その後関東の他の地域に行くのも良いでしょう。

 

日光市内を移動するのにおすすめな「路線バス」

日光市には充実した観光バス連絡システム「日光路線バス」があり、計4つの路線があります。いずれもJR東武日光駅から出発し、「世界遺産を巡る」ことをテーマとした路線のほか、「中禅寺温泉・湯元温泉」行き、「霧降の滝・霧降高原」行き、「鬼怒川温泉」などに向かう路線があります。

どれもおよそ20分ごとに1本の割合で出ており、日光東照宮や中禅寺湖などの有名な観光地に向かい、途中のバス停で降りることも可能です。

また、日光では「フリーパス」乗車券も出しており、一定の期間内に何度でもバスに乗り放題、乗り降り自由となる乗車券も販売しています。電車とバスを組み合わせたセット券もあるため、そちらを検討しても良いでしょう。

通常、「日光路線バス」に乗ることで、効率的かつ簡単に主要な観光地を回ることができますが、10月・11月の紅葉の季節は、あたり一面の紅葉を見に多くの観光客が日光を訪れるため、渋滞に巻き込まれたり、元々乗ろうとしていたバスが満席で次のバスを待たなければならなくなったりすることもあるでしょう。

従って、紅葉の時期に行く場合は、時間に余裕を持って旅程を立てることをおすすめします。ご自分で車を運転して向かう場合も、渋滞や駐車場の空きがないなどの問題が起こりうるので、注意しましょう。

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紅葉を愛でつつ美食を楽しむ!紅葉の時期の日光日帰り観光プラン

日光は人気の高い観光地であるため、1年中観光客が訪れますが、中でも秋の紅葉シーズンは最も多くの人で賑わっています。日光市内を回るには、路線バスでも十分快適に回れますが、もしなるべく効率的に観光したい場合は、以下に筆者が実際に訪れた観光地やレストラン、およびそれらの行き方をご紹介するので、是非参考にしてください。

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湖と山々を一望できる「明智平ロープウェイ&明智平展望台」

JR「東武日光駅」から出発し、中禅寺温泉または湯元温泉方面行きのバスに揺られること約40分。明智平のバス停で下車してから、徒歩3分ほどで今回の日光旅行の1つ目の目的地「明智平展望台」に辿り着きました。

日光の周囲は高くて雄大な山々に囲まれています。海抜1,473mの「明智平展望台」は、日光第2いろは坂の最高所にあり、非常に視野が開けているため、山からの景色を楽しむには最高の場所です。近くには大型の駐車場もあるため、休憩がてら景色を楽しみに来る旅行客が後を絶たず、非常に人気の展望スポットです。

明智平駅からロープウェイに乗って約3分で展望台に到着。日光の景勝地がまるで巻物のように目の前に広がり、北西には中禅寺湖・華厳の滝・男体山などの日光を代表する風景が並び、東を向けば、切り立った崖でつながった屏風岩と遠くまでつながった山々が見えます。今回は秋の終わり頃に訪れましたが、山々の間から赤・黄・茶と様々な色が重なった木々が見えました。展望台からは美しい景色が一望でき、他の季節に来ても、異なる自然のコントラストが楽しめるだろうと思います。

近距離で楽しむ日光の代表風景「華厳の滝&中禅寺湖」

明智平展望台を離れ、中禅寺温泉行のバスに乗り、「中禅寺温泉バスターミナル」で降り、そこから徒歩で日光の自然風景の最も代表的な華厳の滝・中禅寺湖に向かいました。

日光周辺の地形の特色により、周辺には48本もの滝がありますが、中でも有名なのが「華厳の滝」です。中禅寺湖の水が約97mの高さを誇る絶壁から一気に流れ落ち、山壁と岩の間から立ち上る霧は壮観の一言です。和歌山県の那智の滝、茨城県の袋田の滝と併せて「日本三大名滝」と呼ばれ、且つその筆頭として「華厳の滝」が挙げられるのも納得の迫力といえるでしょう。

華厳の滝を観賞できる展望台は2つ。1つは滝の上方にある無料の展望台で、中禅寺湖の水が木々の間を通って流れる様子を楽しめます。もう1つは有料で、滝の麓から専用のエレベーターに乗って向かいます。正面から水が流れ落ちる様子を近くで見て楽しむことができます。四方八方に飛沫が飛び散る様子が感じられ、周囲の山々も目前に迫り、非常に迫力があって素晴らしいです。

華厳の滝の源流にある「中禅寺湖」は海抜1,268m、直径約25kmの山間の湖です。奥日光(日光の西、華厳の滝から戦場ヶ原の日光国立公園高原地域を指す)の入口に位置し、活火山の男体山が2万年前に噴火した際の溶岩が渓谷に詰まってできたと言われています。中禅寺湖の湖畔には、レストランやお店、ホテル、ハイキングコースなどが整備されているので、ゆっくりとハイキングを楽しんだり、遊覧船に乗って湖と山の奏でる美しい景色を楽しむのも良いでしょう。かつては外国人達の避暑地としても人気が高かったため、イギリスやイタリア大使館の別荘などもあり、いずれも参観が可能です。

創業150年以上の老舗「油源」で楽しむゆばづくしランチ

日光に来たならば、昼食にはもちろん日光の名物、ゆば料理を食べるのが良いでしょう。ゆば(yuba)とは、大豆加工製品の一種で、大豆から豆乳を製造する過程で、沸騰時に形成される薄膜のことを指します。

今回昼食の場として選んだのは、地元でも歴史の長い「油源」です。「油源」は1859年に菓子供物商として創業し、現在では食品の販売の他、日光特有の山椒若葉煮などといった特産品や駅弁などの販売しています。日光東照宮・神橋に隣接する油源本店は、イートインスペースもあり、午後は湯波料理などのランチメニューを提供しています。筆者は女将の落合さんのおすすめのもと、地元の湯波と栃木県の選りすぐりの食材でできた「湯波づくし膳」を頼みました。

ゆばは京都では「湯葉」と記されますが、日光では「湯波」と記されます。一説によると日本のゆばの起源は1200年前にも遡り、有名な仏教の僧侶、最澄が中国から京都に持ち帰ったとされています。その後、僧侶が日本各地に仏教を伝えていくうちに、ゆばも他の地域へと広がっていったのです。ゆばにはタンパク質などの栄養素が豊富に含まれているため、皇室・僧侶・神社などの重要な栄養源となり、後に民間にも伝わり、日光の名物へと発展しました。

名前だけでなく、日光と京都ではゆばの作り方も異なります。京都湯葉はまず串をゆばの薄い膜の端から差し込み、掬い取って作られるのに対し、日光湯波は薄膜の中央に串を差し入れ、膜を折りたたんで作られます。従って、内側に豆乳が巻き込まれるため、より厚く、しっかりとした歯ごたえになります。

京都の湯葉が柔らかく繊細な味わいであるならば、日光の湯波は比較的主張がはっきりとしているといえるでしょう。写真の「揚げ巻き湯波」は日光湯波の代表的な料理で、湯波が作られる過程で、まだ湯波が半乾きのうちに揚げて作ります。女将がいうには、揚げ巻き湯波は日光の人が年越しをする際には、必ず食卓にあがる一品なのだそうです。

「さしみゆば」もまた非常に美味しいのですが、これは、湯波を作る際にできた最初の湯波でしか作られないものだそうです。ほのかに豆の香りがし、醤油とわさびと併せて食べると、頬が落ちるほどの味わいです。他にも、紫蘇の実の佃煮や栃木牛しぐれ煮、豆腐の副産物のおからと湯波で作られた「湯波卯の花」など、どれも一度食べたら忘れられない美味しさです。食材はどれも旬のものを使っているため、時期によって内容も異なりますが、いずれも日光ならではの食を楽しめるものになっています。

世界遺産に登録された「日光の社寺」

ご飯を食べてから、ゆっくりと散歩をしながら、日光東照宮までやってきました。日光を代表する「日光東照宮」は、日光の山の中に位置し、「二荒山神社」や「輪王寺」など103の建造物群と遺跡と共に、世界文化遺産として登録されています。通称「日光の社寺」とされ、日光の神社や寺院を指します。

東照宮で祀られているのは江戸幕府(1603-1868年)を開いた徳川家康です。1616年に徳川家康が亡くなると、幕府はその遺言に従って、彼の死の1年後に棺を東照社(現在の日光東照宮)に移しました。江戸幕府初代将軍である家康が祀られていることから、日光は江戸幕府の聖地となり、多くの人々が事業運・勝負運・仕事運を高めようと、はるばる遠方から参拝するようになり、次第に遠方まで名を轟かせる有名な観光地となったのです。

杉並木を歩きながら、古くから続く日光の山の上の神社や寺院に向かうと、時間の流れがゆっくりになったような気持ちがしました。東照宮を訪れると、ピカピカ光輝く金箔の建築物と細かく精緻な彫刻群に目を引かれます。かの有名な見ざる、聞かざる、言わざるの「日光三猿」ももちろん見逃せません。

もう1つ「日光の社寺」の見どころとして、二荒山神社の一部であり、日光山国家公園の入り口にかかっている朱色の「神橋」があります。アーチ状の木造橋であることから、日本の奇橋の1つとされています。1944年に国宝建築物に指定され、1950年には国家重要文化財にも指定されました。秋の紅葉の中、歴史の息吹を感じる橋はいつになく美しく見えました。毎年特定の期間はライトアップも行われ、絢爛な景色が楽しめます。

自家製のオリジナル和スイーツを作り出す「雲出づ 日光店」

東照宮と神橋を参拝した後は、そろそろ家に帰る時間です。神橋を離れ、日光街道に沿って東武日光駅に向かってゆっくりと歩いていると、大きな猿の旗を掲げたシンプルでオシャレな雰囲気のスイーツのお店の前を通りかかりました。

「雲出づ」は那須の大自然からインスピレーションを受けた和菓子・和スイーツの専門店です。日光街道に位置する日光店は、その場で焼き上げる「そっぽ焼き」で有名です。「そっぽ焼き」は日光東照宮の「三猿」をモチーフにしていて、何気ない表情の猿たちを見ていると、段々と食欲が湧いてきます。

筆者が頼んだのはあんこでしたが(他にはカスタード餡などが選べます)、外側の皮がパリッと硬く、内側はもっちりしていて、中にぎっしりと詰まった餡と一緒に食べると、自家製の小豆餡がホカホカと温かく、非常に美味しいです。手のひらに収まるくらいの大きさでかなり満足感があるので、午後のおやつにはぴったりですよ。

店内には日光限定の特産物もたくさんあり、ミルク饅頭「萬雷」や農林水産大臣賞を獲得した、那須の雲海をイメージしたオリジナル羊羹「靆羹」など、どれも日光旅行のお土産として最適です。

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日帰り入浴も宿泊も可能!奥日光湯元温泉

今回は紅葉の終わりの時期に、1日という短い時間しか日光に滞在できず、少し消化不良なところがありました。もし穏やかな天気の中、爽やかな風に吹かれながら、温泉に浸かったり、もう少しゆっくり滞在したい場合は、奥日光湯元温泉の温泉旅館に一泊するのも良いでしょう。湯元温泉にある「休暇村日光湯元」は宿泊ができるだけでなく、日帰り入浴のプランも提供しています。

世界遺産・湯波料理・絶景を一度で楽しめる文化の饗宴

今回の日光の旅で、筆者は賑いの中にも厳かさのある日光の秋を目の当たりにし、歴史や文化の息遣いが感じられる世界遺産を訪れ、迫力満点の名滝を観賞し、地元の自慢の湯波料理に舌鼓を打ちました。日光は紅葉の名所として有名ですが、日光の美しい自然は、どの季節に来ても、異なる美しさを見せてくれるに違いないでしょう。

▼気軽に観光したい場合は、ツアーを検討しましょう!

Klook|日光東照宮&華厳の滝日帰り(東京発)

KKday|日光東照宮+華厳の滝+日光温泉&日光江户村(銀座発)

この記事に掲載されている情報は、公開時点のものです。

ライター紹介

Fuchi
Fuchi Pan
台湾出身、東京在住。手仕事の器や好きなものに囲まれる暮らしに憧れています。
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